メールマガジンアーカイブ(2024年8月)
※本記事は,2024年8月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。
皆様
万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。
今回のメールマガジンでは、労働基準法の休憩時間に関するニュースについてご紹介します。
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東京メトロに労基署から是正勧告 約1800人に最大86億円支払い
東京メトロの日比谷線の一部の職場で泊まりがけの勤務をする際の休憩や睡眠の時間が労働時間に当たるとして、会社は、労働基準監督署から割増賃金を支払うよう是正勧告を受けたと発表しました。同じ勤務を行うおよそ1800人に対し最大で合わせて86億円を支払うということです。
是正勧告を受けたのは、東京メトロ日比谷線の設備の保守管理を行う職場の勤務についてです。
東京メトロによりますと、この職場の朝8時半から翌朝の8時半までの勤務では、合わせて8時間50分を休憩や睡眠のための時間としていますが、そのほとんどについて労働基準監督署から、労働から離れることが保障されているとは認められず労働時間にあたり、割増賃金の支払いなどを行うよう是正勧告を受けたということです。
会社が職場のおよそ30人の勤務実態を調べたところ、毎月7回あるこの勤務で1か月当たり平均で2.3回、休憩や睡眠の時間に設備の故障などの対応を行っていたということです。
対応した場合、会社は代わりの休憩時間を設けるか、手当の支払いなどを行っているということですが、このところ駅構内の防犯カメラの増加や通信機器の老朽化にともない、対応が必要になるケースが増えているとしています。
会社は同じ勤務を行うおよそ1800人に対し、3年間さかのぼり最大で合わせて86億円の割増賃金を支払うほか、今後は休憩時間をずらすなどの対応を行うということです。
東京メトロは、「再発防止に取り組み、社員の働き方の改善に努めます」などとしています。
(令和6年8月8日 NHK NEWSより引用)
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賃金が発生する「労働時間」とは、休憩時間を除いて、現実に労送させている時間のことです。そして、「労働時間」であるかは、労働者が使用者の「指揮命令の下に置かれたもの」といえるかどうかによって客観的に定まります。
本件のように、会社が休憩時間として設定していたとしても、客観的に「指揮命令の下に置かれていた」と判断されてしまった場合には、その時間は労働時間と解釈され、賃金を支払わなければならなくなってしまいます。
「指揮命令の下に置かれていた」かどうかは、様々な事情を考慮して判断されます。本件では、休憩や睡眠の時間としていながら、その時間中に設備の故障などの対応をしなければならないことがあったことから、総合して「指揮命令の下にあった」と判断されています。
業種によっては、休憩時間中としている時間でも、従業員に業務を任せなければならないことがあります。「休憩時間」として設定している時間が「労働時間」に該当してしまわないか、不安を感じられましたら、遠慮なくご相談いただけますと幸いです。
(文責:弁護士 竹田 仁)
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