メールマガジンアーカイブ(2024年7月)

※本記事は,2024年7月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。

今回のメールマガジンでは、改正プロバイダー責任法に関するニュースについてご紹介します。

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SNS大手に違法投稿の迅速対応を義務付け…改正プロバイダー責任法が成立

 SNSを運営する大手企業に対し、違法な投稿への迅速な対応を義務付ける改正プロバイダー責任制限法が10日、参院本会議で可決・成立した。インターネット上の 誹謗 中傷などへの対応を強化する狙いで、公布から1年以内に施行される。法律名は「情報流通プラットフォーム対処法」に改める。

 改正法は、米メタやX(旧ツイッター)などの事業者が対象となる見通しだ。不適切な投稿の削除を求める申請があった際、企業に迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける。削除を申請する窓口を設置することや、申請から一定の期間内に削除の可否や対応結果を示すことなどを求める。

 削除の申請を受けた事業者は、申請から「14日以内の総務省令で定める期間内」に結果を通知する必要がある。違反した場合、総務省は是正勧告や命令を出すことができ、命令に応じない場合は1億円以下の罰金が科される。総務省は今後、施行に向けて詳細な運用ルールを含めた省令の検討を進める。

 改正法は、他者の権利を侵害するネット上の情報への対処が目的で、有名人になりすましてお金をだまし取る詐欺広告なども対象となる。SNS上の詐欺広告を巡っては、メタが運営するフェイスブックなどを通じて被害が相次いでおり、自民党の作業チームが対策を検討している。

(令和6年5月10日 読売新聞オンラインより引用)

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これまでは、違法投稿などによる誹謗中傷が行われた場合は、投稿記事削除の仮処分申立てという法律上の手続を経る必要がありました。

この手続は、訴訟よりも迅速な手続と言われていますが、それでもサイト管理者側からの反論の機会があり、削除に至るまで短くとも1か月程度、長ければ半年以上もかかってしまうことがあります。

また、上記のような法的手続の前に、サイト管理者に対して、任意で削除を求めることもできますが、サイトによって削除基準や対応の程度がまちまちであり、ほとんど対応されないまま連絡も来ないこともありました。

誹謗中傷よる名誉棄損は、投稿から時間が経つほど、被害拡大の防止や回復が難しいものです。そのため、これまでの制度では、被害を防ぐことが難しいのが実情となっていました。

このような現状に対し、今回の改正法では、企業に迅速な対応や削除基準の公表が義務付けられました。

この制度が実行的なものとなれば、違法投稿が早期に削除され、被害拡大の防止や、被害回復を早期に行うことができます。

また、基準の公表により、問題となる違法投稿が任意の請求で削除され得るものか、投稿記事削除の仮処分に進むべきものかを峻別することができ、解決に至るプロセスの見通しを立てられるようになります。

個人・企業にかかわらず、違法投稿による誹謗中傷にお悩みがございましたら、遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

(文責:弁護士 竹田 仁)

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