メールマガジンアーカイブ(2024年12月)
※本記事は,2024年12月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。
皆様
万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。
今回のメールマガジンでは、パタニティー・ハラスメントに関する記事についてご紹介します。
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育児による勤務制限の申請後に降格・転籍は「パタハラ」…30代男性が勤務先の親会社を提訴
育児を理由にした勤務制限の申請後に降格や子会社への転籍を命じたのは「パタニティー・ハラスメント」(パタハラ)にあたるとして、オルゴール販売店に勤める京都市内の30歳代男性が20日、親会社の「オルゴール堂ホールディングス(HD)」(北海道小樽市)に地位確認と慰謝料など約1390万円の支払いを求めて京都地裁に提訴した。
訴状によると、男性は同HD第二営業部次長だった2022年12月、当時1歳の子どもの育児を理由に、就業規則に基づいて宿泊を伴う出張の免除を申請した。翌月、社長から降格を命じられ、子会社のオルゴール販売店に転籍することになった。男性はその後、精神障害を発症し、今年5月に復職するまでの約1年間休職した。
男性側は、降格や転籍は育児制度の利用などを理由に不利益な扱いを禁じる育児・介護休業法に反し、無効だと主張。男性は京都市内で記者会見し、「こういうことが起きない社会になってほしい」と話した。
同HDは「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。
(令和6年11月20日読売新聞オンラインより引用)
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「パタニティー・ハラスメント」(パタハラ)とは、男性労働者が育児のために育児休業等の制度利用を希望したり、制度を利用したりしたことを理由として、同僚や上司等から嫌がらせを受け、就労環境を害されることを指します。
育児介護休業法10条は、育児休業をしたこと等を理由として、当該労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しています。
これに違反して不利益な取扱いをすると、その取扱い(本件の降格処分や解雇等)が公序良俗に反するとして無効となる場合や、不法行為上違法になるとして、従業員が被った損害(慰謝料等)を賠償しなければならなくなる場合があります。
不利益な取扱いに該当するかは、使用者の意図だけでなく、当該取扱いの客観的な合理性や従業員の不利益等を総合的に考慮して判断されます。したがって、使用者として、不利益な取扱いをしているつもりが無くとも、育児介護休業法10条に違反すると判断される場合もあり得ます。
従業員の育児休業の取得に関し、ご不安を感じられる場面がありましたら、遠慮なくご相談いただけますと幸いです。
(文責:弁護士 竹田 仁)
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