メールマガジンアーカイブ(2023年7月)

※本記事は,2023年7月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。

今回のメールマガジンでは、インサイダー取引のニュースについてご紹介します。

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ゲームソフト大手「スクウェア・エニックス」などによる新作ゲームの共同開発を巡り、インサイダー取引をしたとして金融商品取引法違反の罪に問われたスクエニ社元社員の会社役員、中裕司被告(57)に東京地裁(蛭田円香裁判官)は7日、懲役2年6月、執行猶予4年、罰金200万円、追徴金約1億7100万円(求刑懲役2年6月、罰金250万円、追徴金約1億7100万円)の判決を言い渡した。

中被告は「ソニック」シリーズなどのゲーム制作に関わったクリエーター。蛭田裁判官は判決理由で「世界的に有名なゲーム開発者の一人として知られ、共同開発の情報にアクセスできる権限があった」と指摘。自ら積極的に関係資料を閲覧し、約2300万円の利益を得ており「株式市場の公正性や健全性、投資家の信頼を損なった」と述べた。

判決によると、「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」の新作ゲームの開発が進んだとの重要事実を把握し、公表前の2020〜21年、スクエニの共同開発先だった2社の株を計約1億4760万円で買い付けた。

事件を巡っては同罪に問われた別のスクエニ社元社員について、懲役3年、執行猶予5年、罰金400万円、追徴金約1億7600万円の判決が確定している。〔共同〕

(令和5年7月7日 日本経済新聞)

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インサイダー取引とは,会社経営者など未公開情報を入手できる地位にある者が未公開の重要情報を利用して有価証券取引を行うことをいい,金融商品取引法において規制されています。そして,今回のような内部情報に基づくインサイダー取引については,金商法166条に規定がされており,「重要事実」を一定の関係を通じて知った「会社関係者」または「情報受領者」が,「適用除外事実」がないのに,当該事実の「公表」前に,「特定有価証券等」の「売買等」を行うことが禁止されています。

「会社関係者」とは,上場会社等と一定の関係を有する者として列挙された者をいい,役員だけでなく,代理人,使用人,その他従業員も含まれています。さらに,会社関係者でなくなってから1年以内の者も同じ規制に服することとなります。

インサイダー取引に該当する場合,5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられます。自分の行為がインサイダー取引に当たるとの自覚がなくとも,犯罪となってしまう可能性があるため,注意が必要です。

趣味や副業として,有価証券取引を始められる際などに,ご不安を感じられた際には、遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

(文責:弁護士 竹田 仁)

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